ローコスト住宅コラム

ローコスト住宅をお考えの方に向けて、当サイト監修のティー工房一級建築士事務所の代表 田村悟が ローコスト住宅についてのポイントやアドバイスをコラムで定期的にお送りします。

第八回 坪単価ってなぁに?

家を建てようとした事のある方、あるいは、家を建てたという方なら、一度は耳にするであろう言葉『坪単価』。自分の理想の住まいは、一体いくらあれば建てられるのか?
一般に、その目安として引用されるのが『坪単価』です。面積あたりの工事費という、ワカリヤスサがウケているのでしょう。

「坪単価はいくらで出来ますか?」

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時々、こんな質問を受けることがあります。他と比べるために、参考にされるのだと思います。
しかし、実はこれがナカナカ難しいのです。
ハウスメーカーのようにシリーズやグレードの設定があり、ある程度規格化されていれば別ですが、ご要望を細かくお聞きしながら設計して行く私たちの設計スタイルでは、最初から坪単価=○○万円とはお答えしにくいのです。

木造が良いのか?鉄骨が良いのか?規模はどのくらいか?敷地の条件は?
ある程度ご要望をヒアリングさせて頂いてから、実績を踏まえて、あくまでも目安としてお答えしてるのが現状です。

広告やチラシ、webサイトなどでは時々 坪30万~ などと言う破格の数字を目にすることもありますが、実際は皆さん、おいくら程で建てているのでしょう?
お金の話なので、なかなか人にも聞きづらいですが、1番気になるところでもあります。

下は業界新聞の記事から拾った、09年度の大手ハウスメーカーの平均坪単価です。

会社名 平均坪単価(万円) 平均単価(万円) 平均坪数(坪)
1. Mホーム 82.13 3350 40.79
2. Hハウス 81.25 3085 37.97
3. Sハイム 75.80 2970 39.18
4. S林業 74.65 3090 41.39
5. Sハウス 74.03 3116 42.09
6. Dハウス 69.86 2820 40.36
7. Pホーム 69.75 2826 40.52
8. Mホーム 67.05 2546 37.97
平均値 74.32 2975 40.03

こうして見ると、大手ハウスメーカーの中でも坪10万円以上の差があることがわかります。
こちらは全国における各社の実績を統計したとのことですので、営業マンが宣伝文句に使う数字とは違って、ある意味リアルな数字です。 やはり、結構してますよね?いかがでしょう?

単純比較は出来ませんが、8位のMホームさんでも、私たちの木造住宅のアベレージは軽く超えていそうです!

ただ、上の表は大手ハウスメーカーに限定されてますので、ローコスト系のハウスメーカー、地元工務店の設計施工の場合なども含めて平均すれば、もう少しお安く済んでいるのが実情でしょう。

また、東京と地方では随分と単価が違ってくるようです。
総務省統計局の平成19年全国物価統計調査の結果を見ると、「住居」の物価は全国平均を100とすると東京が146.7、沖縄は66.7です。その差は実に2.2倍! 「住居」を含めた物価全体の指数が東京108.5、沖縄91.9ですから、「住居」におけるこの価格差はチョット驚きです。
別の資料によると、東京都・神奈川県の住宅の平均坪単価が坪約70万円なのに対し、その他の殆どの地方での平均は坪50万円台です。
これを踏まえると、上の大手ハウスメーカーの数字も、地方の方からすればビックリする程高いのかも知れません。

では、東京では地方と比べて高級な住宅ばかり建てているのでしょうか? おそらくそんな事はありません。
田園調布や成城などの一部の高級住宅街を除けば、むしろ土地にゆとりのある地方の方が立派なお宅が多いように感じられます。 実はこの辺に『坪単価』のワカリニクサが隠されています。

同仕様の家(同じ建材、同じ設備、同じユニット品)であれば、面積の小さい家ほど、坪単価は高くなります。
例えば、1室に付くサッシや扉、収納ユニットなどの工事費が30万円だとすると、
8畳の室では 30万÷4坪(8畳)=7.5万円/坪
6畳の室だと 30万÷3坪(6畳)=10万円/坪

になります。つまり、同じ4LDKでも、8畳×4室の家よりも6畳×4室の家の方が坪単価が高くなるわけです。

東京などの大都市では、土地の事情から地方と比較すると小さな家が多いです。
かと言って、お風呂もキッチンもトイレも一通りのものは当然必要ですから、自然と坪単価は高くなる傾向にあるわけです。
これが、「高級(そう)な家=坪単価が高い家」とは必ずしも言えない『坪単価』のワカリニクサの一端なのです。
面積だけでなく、建物の形状などによっても坪単価は大きく変動します。 冒頭で 「最初からはお答えしにくい」 としたのには、こういった事情があるんです。

もう一点。『坪単価』にはソモソモの所で問題があります。
簡単に言えば

坪単価=工事費用÷建物の延べ面積(坪)

が坪単価の計算式となりますが、知る限り、法律や業界で決められた定義があるわけでは無いのです!
分母となる延べ面積に、バルコニーは含めるのか?吹抜けは?駐車ポーチは?ロフトは?
同じ様に、分子の工事費用に何を含んで、何を含まないのか?
少なくとも、それくらいは統一しないと比較する意味がないと思うのですが、それが必ずしも統一されていないのが実情です。
坪単価を安く見せたければ、分母は一切合切を含んだ出来るだけ大きな面積として、分子は付帯設備などを含まないミニマムな工事費とすれば良いことになります。

“ワカリヤスイ”と思われている『坪単価』には、こんな“ワカリニクサ“が隠れていることがあります。
そこの処をよく理解せずに、破格の坪単価に飛びつくのは、少々早計と言うものでしょう!
メーカーや工務店の宣伝文句に使われている坪単価=○○万円は、あくまでも目安と考え、出来るだけ建てたい家のスガタ・カタチを具体的にしてから、見積を貰い、それが夢に見合う金額なのか?ジックリとご検討される事をおススメします!

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