ローコスト住宅コラム

ローコスト住宅をお考えの方に向けて、当サイト監修のティー工房一級建築士事務所の代表 田村悟がローコスト住宅についてのポイントやアドバイスをコラムで定期的にお送りします。

第九回 光熱費ゼロへの道

新たな年を迎えて、今回はチョッと夢のある話題で。

2011年は『光熱費ゼロ住宅』元年 となるかも知れません。 『光熱費ゼロ住宅』については、昨年来(もっと前から?)大手ハウスメーカーを中心に、家電メーカーや自動車メーカー、商社等も巻込んで積極的な取り組みが目立つようになって来ました。
TV-CMでもお馴染みのD社では、家庭用リチウムイオン蓄電池付住宅の販売を発表。昨年夏より実験住宅での実証実験を重ね、昨年の発表では、今春にも販売開始!
他社もEV車(電気自動車)とタッグを組んだりと、主導権争いは激化の様相を呈しています。

でも、『光熱費ゼロ住宅』なんて本当に可能なのかしらん???そう思われる方も少なくないでしょう。そこで、ほんのサワリだけ勉強してみました。

<Q.光熱費をどうやってゼロにするか?>
簡単に言えば、当面は太陽光発電などで発電した電力を電力会社に売却して得られる収入と、電力会社から購入する電気代を相殺して、結果、差し引き“ゼロ”にしようと言うことです。 最終的には、EV車も含め、自宅で使う電力(エネルギー)は自宅で賄う(発電する)、「エネルギーの自給自足」が理想となります。

<Q.エネルギーの自給自足は可能?>
現在、2人以上世帯の1世帯あたりの年間消費電力量は約5,500kwだそうです。
太陽光発電システムが定格1kwで年間発電量がおよそ1,000kw(東京)ですから、発電量だけで言えば6kwの発電パネルを設置すれば、十分自給できる計算です。
ちなみに、6kwの発電パネルを設置するには、およそ28畳程度の屋根面積が必要になります。
しかし、太陽光発電システムは、昼間発電する事はできますが、発電した電力はそのまま消費するか電力会社に売電するしかありません。自給自足には発電した電力を蓄える電池(バッテリー)が必要になります。

<Q.そんな大型の蓄電池があるの?>
一説には、携帯電話やモバイルコンピューターの普及がそれを可能にしました。バッテリーの研究開発が飛躍的に進んだからだそうです。
家庭用リチウムイオン蓄電池は既に実用段階まで来ています。既に量産の準備が進められているようです。

<Q.光熱費は本当にゼロになるのか?>
前述のD社のフレコミでは、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)と呼ばれる、エネルギー消費制御システムを導入した家庭用リチウムイオン蓄電池付住宅では、 「新省エネ基準による一般住宅と比べてCO2を65%削減、光熱費を102%削減することができる」ということですから、条件が揃えば十分に可能だと言うことでしょう。
ただ、蓄電池付き住宅は『光熱費ゼロ住宅』に向けての第一歩。最終的には燃料電池や太陽電池などとの併用で2020年度に完全な『光熱費ゼロ住宅』の実現を目指すとのことです。
2020年。随分先のようですが、もう10年無いのですね。
太陽光発電パネルの発電効率、蓄電池(バッテリー)の容量、住宅設備の省エネ化。技術の進歩が今現在も進んでいるのは確かです。クリアすべき課題はあるでしょうが、もう昔の “夢(絵空事)” の世界は ”現実“ の一歩手前まで来ていると言っても過言ではなさそうです。

<Q.システム導入の費用はおいくら?>
ここが1番気になるところですが、最もベールにつつまれています。
参考にしかなりませんが、小耳に挟んだ情報ですと、同じリチウムイオン電池を搭載した国産EV車の電池搭載の費用は200万円を超えるそうです。
仮に同程度で200万円として、太陽光発電システム(6kw)が補助金込みで300万円程度でしょうか。200万+300万で500万円。
一般家庭(2人以上)の平均光熱費は約20万円ですから、光熱費が“ゼロ”になったとして、モトを取るのに25年は掛かる計算です。(その間、エネルギー単価が変わらない前提ですが・・・)
システムには当然寿命があるわけで、太陽光発電パネルが20年、蓄電池はもっと短いと考えられます。ですから、少なくとも20年後までには、再び導入時と同程度の費用が発生します。
つまり、このままではイニシャルコストが高くて『光熱費ゼロ住宅』の経済的意味は全くないことになります。
某ハウスメーカーは、蓄電池設置に掛かる費用は、補助金等を含め実質50万円程度にする必要があると言っているようです。併せて太陽光発電の設置コストを下げる必要がありますが、感覚的にも、普及にはそのあたりが妥当な線かも知れませんね。今のところ、大きな課題と言えそうです。

<Q.リチウムは無限大にあるの?>
仮にリチウムイオン蓄電池付の住宅が普及したとして、その頃にはEV車を始めその他の分野でもリチウムイオン蓄電池の需要が急増している可能性が高いと思います。 そうすれば、当然のことながら原料であるリチウムの需要も格段に増えるでしょう。
そこで気になるのは、こんな素朴な疑問です。
◇「リチウム」がどれほど地球上にあるのか?
◇限りある資源ではないのか?
◇「レアアース」のような問題は発生しないか?
Wikipediaによれば、EV車などの需要の急増を見込んでも可採年数は400年だそうです。海水中には事実上無限の埋蔵量があるそうな。
「限りある資源ではあるが、相当先まで大丈夫」ってところでしょうか。 ただ、ecoの観点からするとチョット疑問も? だって、そのリチウムイオン電池作るのにどんだけエネルギー使うの?ってね。思いません。

以上、今回はほんのサワリだけですが、ローコストの観点からも大変興味深いテーマなので、継続して勉強していかなければっ!
しかし、これらのシステムをハウスメーカーに頼らず、気軽に注文住宅に導入できるのは何年後のことでしょう?
コストの問題、耐用年数の問題、スペースの問題、効率の問題、、、まだまだ課題が多いのも現実です。

“夢のような近未来“ 早く来て欲しいような、恐ろしいような・・・
みんなで智恵を出し合って、明るい未来を創っていかないといけませんね!

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