ローコスト住宅コラム

ローコスト住宅をお考えの方に向けて、当サイト監修のティー工房一級建築士事務所の代表 田村悟が ローコスト住宅についてのポイントやアドバイスをコラムで定期的にお送りします。

第十回 ローコストな無垢フローリング

前回から、随分と時間が経ってしまいました。久しぶりのラボ更新です。
今回はフローリング材。それも無垢のフローリングについて、考えていきたいと思います。

フローリングとは、広義には木質系の床材全般を指しますが、国内ではもっぱら板張りまたは板張り状の木質系床仕上材をこう呼んでいるように思います。
現在では新築住宅の多くの家の床材として、このフローリングが使われています。
賃貸住宅などでも「床がフローリングじゃないと借手が付きにくい」と言われる程、大変ポピュラーな材料となりました。

さて、フローリング材ですが、1枚の無垢材から出来ているイワユル無垢フローリングと、合板の上に薄い突板(無垢の木を薄皮一枚にスライスしたもの)を接着した複合フローリングの2種類に分けることが出来ます。
現在の様にフローリングが普及したのは、後者の複合フローリングが普及したことも大な要因と言えるでしょう。正確な割合は判りませんが、一般の建売住宅などではほぼ100%この複合フローリングが使われています。

以下に、ざっと両者の特徴を列記します。

無垢フローリング 複合フローリング
無垢フローリング 複合フローリング
木目が自然で深みがある 突板を貼り付けているため、目地が浅く深みは感じられない
木を削り、磨いたそのままの肌触り
(木の温かみがある)
多くの場合、キズ防止などのため樹脂で
コーティングされている
基本的に自然材料 接着剤やコーティングに化学物質を用いている
経年で色味が変化する
(使い込むほどに味わいが出る)
新しい状態を長時間キープ出来る
(年月が経っても、大きな変化はない)
反りや狂いが生じやすい、伸縮の幅が大きい 反りや狂いが少ない、伸縮の幅が小さい
節が有ったり、色味の違い(バラツキ)がある 突板の段階で選られる場合が多く一般的には無節で色味も均一
汚れやすい(汚れを取りにくい)
やわらかい樹種はキズが付きやすい
コーティングがされている場合、汚れにくく、キズも付きにくい
張り手間がかかる(1枚1枚張っていくため) 比較的張り手間がかからない
(張りやすいサイズに設定されている為)

こうして見ると各々に良いところ、弱いところが有るのが判ると思います。
どちらを採用するかは、この特徴を自分の価値観に照らしてみると良いでしょう。

簡単に言えば・・・

■ 木の温かい木目、自然な肌触りが好き
■ 自然材料にコダワリたい
■ 多少のメンテナンスは可能
■ 多少の汚れやキズは気にならない

と言う方は無垢フローリング向きです。
逆に、

■ 木の木目や節が苦手
■ 均一にキレイに仕上がっていて欲しい
■ 可能な限りメンテナンスフリーで
■ 汚れやキズは許せない

と言う方は複合フローリング向きです。
フローリングに何を求めるかで、選択も変わってくる訳です。

では、どちらがローコストなのか?
答えはやはり複合フローリングです。
もちろん両者ともにピンからキリまでありますが、例えばナラの大手建材メーカーの複合フローリングと同じナラの無垢フローリングで比べると、 張り手間も含めて1坪当たり5,000円以上の差が出ると考えて良いと思います。
仮に1件の家で、フローリングを張る範囲が20坪だとすると、10万円以上の差が出る計算です。
どうでしょう?

『10万円の違いなら、無垢フローリングにしたい!』

と言う方も多いのでは無いでしょうか?

ローコストで、それでいて前述の無垢フローリングの良さが存分に感じられる無垢フローリングは無いのか?
一例としてですが、私達がよくお勧めして、採用されている製品(樹種)があります。
それはフレンチパインと言う樹種です。

labo写真

フレンチパインはその名の通り、フランスのランド地方で植林されている樹木です。
輸入品になりますが、厚みが21mm幅が170mmの製品でも、私達の事務所ではスタンダードなグレードの 複合フローリング(厚み12mm)と製品価格の点では大きな差が有りません。
大工さんの張り手間とワックス等の塗装費分の差で済みます。
ワックスもオスモなどの自然系のものであれば、ご自分でも十分に塗装できます。
前述の坪当たり+5,000円で十分に採用できる製品です。

実は私達の事務所の床も、このフレンチパインのフローリングとなっています。
最初にオスモをタップリと塗った以外は、日常の掃除以外ほぼ何のメンテナンスもせず、かれこれ約6年になります。 幅が広い方が良さの出る材ですので、事務所では幅150mmのものを採用しています。この「幅が広い」と言う点も、気に入っているポイントです。 パイン(=松)ですので、木目が比較的ハッキリとしているのが特徴です。

実際に使ってみての実感も踏まえて、注意事項を挙げれば・・・

■ グレードにもよりますが、結構な節が有ります
■ 経年で色が濃く変化します(黄色っぽい木肌が赤っぽく変化します)
■ 比較的やわらかい樹種ですから、硬いものを落とすと凹んだりキズが着きます
■ ところどころ黒いシミのようなものが出てきます
■ 季節に応じて、目地が広がったり狭まったりします
(木材の吸放湿作用によるものです)

と言った感じです。
6年経って、正直少し汚れてもきましたが、その分味わいある光沢にもなってきました。
色味や木目は好みの分かれるところですが、「ローコストでナチュラルな家を建てたい!」
と言ったご要望にはピッタリはまる材料だと思います。

基本的には床暖房には非対応ですが、実際に温水式床暖房の部屋に採用した例もあります。 確かに収縮によって目地が広がったりはしていますが、大きな不都合は生じていないようです。
ただし、高温になりすぎるのはタブーですので、ラグを敷かない等の制約が出てきます。もちろん、そもそもが「非対応」品ですから、多少の事は大目に見て下さいね。

ちなみに、「床暖房対応」を謳っている無垢フローリングは、ナラやタモ、クリと言った比較的硬い樹種が多いようです。 残念ながら、「床暖房対応」となると、やはり其れなりのコストがかかります。これまたピンキリでしょうが、 フレンチパイン材と比較すると製品価格で倍以上と思って頂いてまず間違いありません。
そこまで行くともう「高級品」の部類で、「ローコスト建材」とは言えませんね。

ところで無垢フローリングと聞くと「高級品」というイメージがありませんか?
ただ、「板の間」は昔から日本の家屋にもありましたし、歴史的な神社仏閣にも「板張り」の床が多く見られます。
「フローリング」と呼ぶと何か西洋の文化の様に感じられますが、国内でも伝統的に採用されて来た床材なのです。
合理性や機能性を追求した結果 複合フローリング が普及し、無垢フローリングはいつの間にか「高級建材」と呼ばれるようになってしまったように思います。
もしかしたら、それは「反ってはイケナイ。キズが付いちゃイケナイ。」と言う、クレームを回避したい売り手側の思い込みの産物じゃないでしょうか?

「木なのだから、多少反ったり、キズがついて当たり前。それよりも木の自然な風合いに触れて居たい。」

昨今は、「ロハス」とか「スローライフ」などと言って、こういう大らかな価値観も見直されて来ました。

合理主義が忘れてきた価値観なのかな?と思う今日この頃です。
裸足で無垢板の上をペタペタと歩く。
夏は特に気持ち良いですよ!

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