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ローコスト住宅をお考えの方に向けて、当サイト監修のティー工房一級建築士事務所の代表 田村悟がローコスト住宅についてのポイントやアドバイスをコラムで定期的にお送りします。
- 第十一回|
第十一回 ローコスト手法(流通コストを考える)
あっと言う間の“師走“です。
今年(2011年)は大震災、放射能汚染、円高、タイの洪水、と次から次へと困難な事態が降りかかりました。例年より1年が長く感じたのはワタシだけでしょうか?
迫りくる年の瀬に追われるように、久しぶりのラボ更新です。
今回は建築コストの盲点とも言える(?)流通コストがテーマです。
流通コストと言うと、何だか大袈裟ですね。早い話が送料についてです。
送料の2文字で先ず思い浮かぶのは“通信販売”でしょうか。
インターネット販売も含め、いわゆる“通信販売”が市民権を得て久しくなります。
「○○円以上で送料無料!」
そんな謳い文句に乗せられて、ついつい要らないものまでクリッククリックなんて御仁も多いのではないでしょうか?
それだけ、普段のお買いものであっても送料は重要な節約ポイントだと言う事だと思います。
そう考えると住宅建築の現場でも、もう少し送料の合理化に目を向けても良いですよね?

勿論、住宅は建ててから運んでくる訳では有りませんから、ここで言う送料とは、その材料やユニット品の送料と言う事になります。
住宅を建てる場合、現場にあるものを使うのは土地と土くらいです。
その他の材料や製品はすべてどこかから“運んでくる”訳です。
運んでくるわけですから、当然そこには送料(運送費)が掛かります。
そこを何とか節約できないか?ってのが、今回のテーマです。
と、前置きが長くなりましたがココからが本題です。チョットした機転で送料を節約出来ます!
■ 使用する建材の種類を絞る!
至極単純な理屈です。運ばれてくるモノの種類を絞って、効率よく運んでもらおうって事です。
イロイロな建材、材料をチョッとチョッと使うと、イロイロなモノが少しずつイロイロな場所から別々に送られて来る事になります。
それぞれのコストに別々に送料(運送費)が乗っかる事となります。
極端に言えば、1台のトラックで鉛筆1本を運んできても、鉛筆1000ケースを運んできても、全体の送料(運送費)は大きく変わりません。
どちらにもトラック1台分の送料(運送費)が掛かってきます。
必然的に鉛筆1本当たりの単価は1000ケース運んできた場合に比べて、1本で運ばれてきた鉛筆は格段に高くなってしまうわけです(笑)
「○○円以上で送料無料!」のカラクリが何処にあるのかは知りませんが、
一度に沢山運べば1個当たりの送料など製品単価で十分飲み込めるって事じゃないでしょうか?
決して本当に送料が掛かっていない訳では無いはずです。
また、多くの建材はある決まった単位で箱などで売られています。モノにもよりますが使う分だけ『ばら売り』で、とは行かないケースもあります。
使うのは1個だけでも、箱で買わなきゃならないって事だって有るのです。
■ 中間マージンを節約する!
余り知られていない事かも知れませんが、建築の業界では多くの材料が商社や代理店、問屋さんを経て現場へ入れられます。問屋さんには問屋さんの役割が勿論有ります。(止む無く複数の材料を少しずつ使わざるを得ない場合などは、逆に問屋さんが入る事で送料を節約することが出来ます。)そこをナイガシロにするつもりは有りませんが、この業界では製品や材料が現場に入れられるまでに、物理的にも形式的にもイロイロと寄り道しているケースが見受けられます。
ここをシンプルにすることで、流通コストを含め、いろんな意味で中間マージンもカット出来ます。
地産地消で県内産の木材を使うことで流通コストも抑えられるし、補助金が出るなんてケースもあるようですよ。
地方で新築をお考えの方は調べてみる価値有りです!
また、相対的にはローコストでは無いかも知れませんが、個人輸入や共同購入で輸入品を安く手に入れて、現場に材料支給するなんて手も有りますよ。
■ 出来るだけ規格品・汎用品を使う!
日本国内では、世の中に出回っている多くの工業製品にはJIS(日本工業規格)という規格が有ります。
JISにはその品質やサイズが規格化されています。身近なもので言えば、A4などの紙のサイズもJISの規格の一つです。
木材は工業製品では無いのでJIS規格は有りませんが、代わりにJIS(日本農林規格)と言う規格が有ります。
品質やサイズが安定・統一されているってことは、流通面でもハンドリングが良いはずです。見えてこないかも知れませんが、当然その辺りは製品単価に反映されているハズです。
また、総じて一般的な材料(汎用品)を使う方が流通コストの面では有利です。
より近くに、より沢山ある可能性が高いからです。
更には、そこに運ばれる過程でも、数が多く出回る材料ほど、効率的に運ばれ、効率的にストックされている可能性が高いです。
仮に定価にその効率の良さが反映されていなくても 掛け率 と言う形で表れて来たりします。
『規格外』の面白さって言うのもありますが、ホドホドが良さそうですよ!
■ “掛け率“には要注意!
システムキッチンやユニットバスなどは、その大部分が工場で製作されて、現場では、ほぼ組み立てるだけです。
カタログを見るとビックリするような定価が付けられています。
これはこの業界の悪習なのですが、実際の現場ではカタログで示された定価で買う工務店はまず有りません。
必ずそこには掛け率なるものが存在して、定価にその掛け率を掛けたNETと呼ばれる価格で取引されています。そう、値引きが当たり前なのです。
この掛け率が曲者で、メーカー毎、製品毎、でバラバラだったりします。
そこにはヤッパリ流通コストも関係していると思われます。(前述の効率的な云々の理由で…)
施工する地域・工務店さん・問屋さんによって、それぞれ掛け率が良い=得意なメーカー、掛け率が悪い=苦手なメーカーが有るようです。
メーカーにこだわらずに工務店さんに相談して見ると良いでしょう。工務店さんによっては独自の入手ルートを持っていたり、ストック品が有ったりするかも知れません。
■ 軽量化が効果的?
送料がどのように決まっているか?と考えると、基本要素は以下の3つでしょう。
1. 運ぶ距離
2. 運ぶモノの大きさ(体積)
3. 運ぶモノの重さ
軽い方が送料は安いはずです。
ナカナカ現場でそれを実感したことはありませんが、原理原則としては間違っていないはずです。いくら違うのか?チョット具体的に見えにくい所ですね。
ただ建物全体が重くなれば、それだけ重いモノを運んできた事になりますから、そこには間違いなくコストが掛かっている事になります。
そうじゃなくても軽量化はローコスト化に大きく関わってきますから、覚えておいて損は無いと思いますよ。
通信販売のように送料と言う形で目に見える場合には解りやすいですが、
住宅建築全体で見ると流通コストは各々の材料費を構成する要素の一つとして材料価格や掛け率の中に隠れてしまいます。
何だかシャイでつかみにくい存在ですが、モノには必ず掛かっているコストです。
存在感が薄く「安かった!」と実感することも少ないかも知れませんが、ローコスト住宅を建てるなら「頭に入れておいて損は無い!」 今回はそんな通好みのお話でした……お粗末。

■バックナンバー
- 2011/12/12
- ローコストハウスラボ「第十一回 ローコスト手法(流通コストを考える)」を追加しました。
- 2011/07/22
- ローコストハウスラボ「第十回 ローコストな無垢フローリング」を追加しました。
- 2011/01/11
- ローコストハウスラボ「第九回 光熱費ゼロへの道」を追加しました。
- 2010/11/30
- ローコストハウスラボ「第八回 坪単価ってなぁに?」を追加しました。
- 2010/10/07
- ローコストハウスラボ「第七回 エコロジーとエコノミー?!」を追加しました。
- 2010/06/21
- ローコストハウスラボ「第六回 ローコスト手法 3」を追加しました。
- 2010/04/26
- ローコストハウスラボ「第五回 ローコスト手法 2」を追加しました。
- 2010/02/15
- ローコストハウスラボ「第四回 ローコスト手法 1」を追加しました。
- 2010/01/28
- ローコストハウスラボ「第三回 ローコスト建材」を追加しました。
- 2010/01/18
- ローコストハウスラボ「第二回 見積りを比較する!」を追加しました。


